呼ばれたんだな。

今思えば少し不思議な事だったのかなと思います。
昔、こんな体験をしました。





先日の肥溜めデスマッチを制し
H島先輩を文字通り奈落の底へと叩き突き落とした
西山先輩こと西(シャア)先輩ですが

どうしても勝利の報告と
デスマッチ現場を見せたいらしく
ほぼ無理矢理、私達は連れだされたのでした。


無意味に牛の肥溜めをながめる私達
宿敵H島先輩を倒したと自慢する西先輩
一通り自慢が終わった後

西先輩「よし!帰ろう‼」

私達「……(ようやく、解放されるッ‼‼)……。」

そうして帰路についた私達。
おもむろに場の空気を読んでか
西先輩「皆付き合ってくれたからザンギ※(鳥の揚げ物)でもおごろうかな」
私達「頂きます!!!」←速答
さっそく、もぐもぐタイムです
お総菜屋さんで買ってきたザンギを道端で食べる四人。

もぐもぐ。


しばらくすると
四人の足元に一匹の猫が近寄って来ました。
足にすり寄る猫。

お腹でもすいてるのかな?
と思いザンギの身の部分を与えようとしました
が、食べようとしません。
食べ物が欲しいわけでは無いようでした。

次に猫は
足元から離れ
少し私達から離れると、そこで立ち止まり
にゃー
と、小さな声で鳴くのです。

また少し離れて
小さな声で鳴きました。

T岡「なんか、呼んでるみたいじゃねー?」
Y田「俺もそう感じんだけど……。」


西先輩「どれどれ」
西先輩が猫に近づこうとすると
すっと移動し
先輩が止まると猫止まる

また
にゃー
と、鳴く猫。

こんどは皆で猫に近づいてみました

こっちだよ

というかのように
猫が先へと進んで行き
私達はその猫に誘われるように、先へ先へと進んで行ったのです。



そして
1台の車の前でピタリと止まる猫。


西先輩「この車を調べろって事かな?
ここほれワンワンならぬ、ニャーニャーですかねぇ」
そう言って少しワクワクしたかのような先輩は
その車両を見回り、車の下を覗き込んだ時
スゴく悲しそうな顔をして
西先輩「そう言う事か」とポツリ。


私達も車の下を見てみると

そこには
仔猫の亡骸が

にゃー
また小さく鳴く猫

西先輩「そうだね、弔ってあげないとね」


西先輩は車の持ち主の家の方に許可を取り
仔猫の亡骸を車の下から出してあげて
近くの空き地に小さなお墓をつくりました。

西先輩「ゴメンな、これくらいしか出来ないけど」

もう、鳴かない猫

Y田「じゃあもう行くから」
お墓の前に座る猫にそう言って私達はその場を後にしました。



私「……あの猫の子供だったんですかね?」
西先輩「分からないけど、ウチらが猫に呼ばれた、それだけが真実だよね。」


生き物には
仲間や家族を思いやり
いとおしむ気持ちが有るんだな、そう感じた晩秋の夕暮れでした。


西先輩「でさー、肥溜めに落ちたH島が……」
私「もうそれイイデス‼💢」